妊娠超初期には「着床出血」といって
多少の出血が起こることがあります。
でも生理とどう違うのか、
初めての妊娠だとわからないもの。
また妊娠中の出血は不安もいっぱい。
どんな原因で妊娠超初期に出血が起こるのか、
どう対処すればいいのか、詳しくご紹介します。

香川医科大学卒業。大阪警察病院、大阪府立母子保健総合医療センター等を経て、大阪大学医学部博士課程修了。現在は泉州広域母子医療センター長、りんくう総合医療センター産婦人科部長。産科医にしてジャズピアニストでもあり、産婦人科を舞台とした漫画『コウノドリ』(講談社)の主人公のモデルにもなった医師。
「妊娠超初期の出血」には、受精卵が着床する際に起こる「着床出血」があり、最も多い原因とされますが、起こるのは4人に1人より少ないです。時期は妊娠4週目頃で生理と重なり、腹痛やだるさなど症状も似ています。違いは、色がピンクや茶色など個人差があり、量は少なく期間は1~2日程度、長くても4日ほどと短い点です。一方で絨毛膜下血腫や異所性妊娠、初期流産などの可能性もあるため、出血の色・量・痛みを確認し、不安があれば医師に相談することが大切です。

妊娠超初期における「着床出血」とは、受精卵が着床する際に起こる出血のこと。妊娠初期に起こる出血で、一番多いのがこの理由によるものだといわれています。
受精卵が着床するとき、胎盤を作るために受精卵から絨毛という組織が伸びて根を張るようにして定着します。このとき、子宮内膜の血管を傷つけてしまうことによって少量の出血が起こるのです。
ただし、妊娠するとすべての人にこの着床出血が起こるわけではありません。着床出血を経験する妊婦は、4人に1人より少ないとされています。

着床出血が起こるのは、妊娠4週目頃です。これは生理予定日とほぼ同じ時期に当たるため、生理なのか着床出血なのか、なかなかわかりにくいものなのです。
しかも妊娠超初期も生理中や生理予定日前後と同じように、腹痛・頭痛・イライラ感・眠気・だるさ・食欲の変化などを感じることが多く、症状が似通っています。
それでは、生理か着床出血か見分けるにはどんなところに着目すればいいのでしょうか。以下に、生理と着床出血の違いを説明します。

妊娠超初期には、着床出血以外の理由で出血が起こることも。その理由としては以下のようなものがあるので、出血の様子とともに詳しくご紹介しましょう。
絨毛膜と子宮内膜の間に着床出血がたまり、血の塊ができてしまったもの。少量であれば子宮に吸収されてなくなりますが、血腫が大きいと絨毛膜と子宮内膜の間から血が漏れ出て出血することがあります。
色は鮮血色や赤褐色です。多くの場合、妊娠初期の間に出血が治まり自然に改善しますが、中期になっても続いたり血腫が大きくなる場合は妊娠の経過に影響を与えることもあるので、医師に相談しましょう。
胎盤を作るための絨毛細胞が異常に増殖してしまうこと。絨毛細胞が水の入った粒状になり、子宮内にぶどうのように増えていくのが特徴です。
出血はごく少量で色は赤褐色や茶色。腹痛やつわりのような症状を伴うこともあります。速やかに処置が必要な症状です。
赤ちゃんが生まれるときの出口・子宮口を胎盤がふさいでしまっているのが前置胎盤。無症状のことが多いですが、腹痛を伴わない突然の出血があることがあります。
出血は少量のものが数回起こることもあれば、いきなり大量に出血することも。色はピンクや赤色などです。前置胎盤の場合はほとんどが帝王切開になりますが、初期に前置胎盤でも徐々に改善されることもあります。
妊娠22週未満で出血や腹痛があると切迫流産と診断されることがあります。これは、まだ流産はしていないものの、流産になりかけている状態のこと。
出血の量は少量から大量の場合までさまざまで、色は鮮血色や赤褐色です。妊娠は継続しているので、医師からの指示に従い、安静に過ごすことが大切です。

また、妊娠とは関係のない理由でも出血が起こる場合があります。
その理由としては、以下のようなものがあります。
生理と生理の間に、急激なエストロゲンの分泌量変化により子宮内膜の一部から出血が起こることがあり、これを排卵期出血といいます。
排卵の数日前から起こり、高温期に入ると止まります。出血は少量で、色はピンクや茶褐色のことが多いようです。
子宮の入り口付近が赤くただれている状態。女性ホルモンが活発な時期に見られる生理現象で、病気ではありません。
この状態のときは性交渉や内診でも出血を起こすことがあり、炎症によって出血が起こることも。出血は少量で、色はピンクから赤褐色、茶色などです。
子宮頸管にできるイボのようなできもの。エストロゲンの影響でできるといわれ、多くの場合は良性です。
やわらかくもろい組織で、性交渉や触診、排便時のいきみなどで簡単に出血を起こします。出血はごく少量で、色はピンクや赤褐色、茶色です。
子宮下部の「子宮頚部」にできるがんで、ヒトパピローマウイルスに感染して発症することがほとんどといわれています。
出血は、最初はごく少量ですが徐々に増えていくのが特徴で、色は鮮血色や赤褐色です。
子宮上部の「子宮体部」にできるがんで、発生の一因には女性ホルモンのバランスが関係。
エストロゲンが過剰になることで子宮内膜が増殖し、がんが発生するとされています。出血は少量で、褐色のおりものだけの場合も。

妊娠超初期・妊娠初期や「妊娠かも?」と思っているときに出血があると不安になってしまいますが、まずは落ち着いて出血の状況をチェックしましょう。
以下のような情報をしっかり記録し、不安があるときは医師に相談することが大切です。特に妊娠している場合はまずかかりつけ医に連絡し、状況を伝えて指示を仰ぐようにしてください。

出血の状態によっては、心配があまりないものと、緊急性が高くすぐに受診が必要なものがあります。心配が少ないものは、おりものシートに収まるぐらいのごく少量の出血で、鮮血ではないもの、また茶色のおりもの程度のもの、そして痛みを伴わないもの。
妊娠中で定期健診を受けているのであれば、次の健診時にいつ頃どのような症状があったか伝えるようにしましょう。
逆に生理ぐらいのまとまった量の出血があったり、鮮血であったり、腹痛を伴うなどの場合はすぐに病院に連絡し、かかりつけ医の受診をしてください。
ただしいずれにせよ判断に迷ったり不安があるときは、かかりつけ医に電話で相談したり、医療機関を受診するなどの方法で心配を取り除くようにしましょう。

※以下、回答内容は荻田医師監修
着床出血と思われる症状があったらすぐ確認したくなりますが、妊娠検査薬は適切な時期に使用する必要があります。
市販されている妊娠検査薬の多くは、「生理開始予定日の1週間後以降」が判定可能な時期。これより早い「フライング検査」では正確な反応が出ないため、避けましょう。
着床出血の場合、出血は生理よりも少ないことがほとんどですが、生理の始まりと同程度の出血が起こることもあります。
また生理予定日以外の出血は、不正出血の可能性も。月経異常や子宮内膜症、感染症、卵巣疾患、子宮がんなどの病気が隠れている場合もあるので、心配な場合は病院で診てもらいましょう。