01. 全国1位の背景を、追加アンケートで深掘り
2025年に実施した「1万人調査!! 子育てしやすい街リポート子育て満足度調査」では、「子育て満足度ランキング」を発表しています。
安城市は86点で全国1位でした。点数分布をみても、高得点の割合が非常に多いだけでなく、59点以下の低評価が全くなかったことが特徴です。
ここから注目していきたいのは、点数そのものよりも「なぜそう感じたのか」という点です。今回追加で実施したアンケートでは、自由回答や具体的な生活場面を追い、その理由を深掘りしていきます。
02. 「家計の負担軽減」に関する支援が高い評価を集める結果に
「特に助かっている・評価しているもの」を最大3つ選んでもらうと、子ども医療費助成は78.4%と突出しました。第2子以降の保育料無償化も上位に入り、家計への負担軽減が、安城市の子育てしやすさを支える大きな要素になっています。
制度が用意されていることだけではなく、「実際に助かった」という経験になっていること。その実感が、満足度につながっているようです。
03. 安城らしさが最も表れていたのは、「今日どこ行こう?」の選択肢が多いこと
一方、子育てをしやすいと感じる場面として最も多かったのは、公園・児童センター・図書館など「子どもと出かける場所を利用するとき」で64.7%でした。「費用面で助かるとき」の56.9%を上回り、日常の外出先を利用する場面が、子育てしやすさを感じる大きなポイントになっていることが分かりました。
さらに自由回答を見ると、「安城らしさ」として挙がった14件のうち11件が、公園、遊び場、支援センター、安城産業文化公園デンパーク、商業施設など「場所」に言及していました。
特徴的なのは、特定の一つの施設だけに評価が集中していないこと。小さな公園から大きな施設、公共施設から民間の商業施設まで、その日の天候や子どもの年齢、家族の予定に合わせて選べることが、暮らしの中での「子育てのしやすさ」につながっていると考えられます。
「すごい施設が一つあるまち」ではなく、「今日のわが家に合う場所を選べるまち」。それが、アンケートから見えた安城らしさです。
04. 「遊べる場所」の価値は、ハード面だけではなかった
アンケートでは、支援センターについて「子どもの遊び場」としてだけでなく、「親が話を聞いてもらえる」「孤独に感じずに済む」といった声も見られました。
その背景を職員の皆さんに伺うと、施設運営で大切にしているのは、一人ひとりの親子の様子を見ながら、声をかけることだといいます。
安城市子育て支援センター(あんぱ~く内)では、親子が気軽に集う場の提供だけでなく、子育て相談、情報提供、子育てサークルの育成なども行われています。
「遊べる場所が多い」だけではなく、そこに行けば誰かと話せる。相談できる。親同士もつながれる。施設の「人」の部分も、安城市の子育てのしやすさを支えていました。
05. 「情報が見つけやすい」には、理由があった
子育て情報については、62.7%の人が「見つけやすい」と回答しました。よく使う情報源では、安城市が導入している母子健康手帳アプリ「あんぴよ」が最も多く、広報や市ホームページなどの行政チャネルも上位に入っています。
職員ヒアリングでは、「受け取る側が迷わないようにまとめる」ことを意識しているという話がありました。
妊娠・出産期は、母子健康手帳、医療、相談、出産後の手続きなど、短期間に多くの情報が必要になります。安城市では、以前は個別のチラシで案内していた情報を一冊のハンドブックにまとめ、必要に応じてホームページやアプリへつなげています。
母子健康手帳アプリ「あんぴよ」では、妊娠中から乳幼児期にかけて地域の子育て情報を確認できるほか、必要な施設の検索や、乳幼児健診・各種教室などのWeb予約にも利用できます。
ららぽーと安城は市外からの来店者も多い施設です。子育て世帯にとって関心の高い情報がまとまっていることが、冊子を手に取られる理由になっている可能性があります。
06. 「市内だけ」でなく、子育て世帯の「生活圏」で情報を考える
安城市の子育て情報誌では、市内施設だけでなく、近隣自治体のおでかけ先も紹介されています。職員からは、他自治体では自市内の情報に限るケースもある中、安城市では岡崎市など周辺地域のスポットも掲載しているとの話がありました。市境ではなく、子育て世帯の実際の生活圏に目を向けて情報を届けている点も特徴です。
子育て世帯の生活は、市境で区切られているわけではありません。休日のおでかけ、お買い物、通院など、日々の行動範囲は自然に近隣市へ広がります。自市の制度・施設だけを伝えるのではなく、親子が実際に使う「生活圏」で情報を編集する視点も、安城市の情報発信の特徴の一つといえそうです。
07. 「程よく田舎、程よく都会」。施策だけでは説明できない安城の暮らしやすさ
職員ヒアリングでは、安城市について「程よく田舎、程よく都会」という言葉も聞かれました。公園や施設へのアクセスに加え、区画整理が進んだ地域では歩道が広く、子どもと一緒に移動しやすいことや、地域コミュニティが残っていることも、暮らしやすさにつながっているという声がありました。
アンケートの数字だけを見ると「医療費助成」「公園」「支援センター」といった個別項目に分かれます。しかし、実際の暮らしでは、それらは別々に存在しているわけではありません。制度、都市環境、情報、地域とのつながり。その組み合わせが、日常の中で感じる「暮らしやすさ」になっているようです。
08. 全国1位の、その先へ。子育て世帯から寄せられた次の期待
もちろん、高評価だからといって課題がないわけではありません。今後さらに充実してほしいことでは、保育環境43.1%、子どもの医療・病児保育37.3%、妊娠中・産後の支援33.3%が上位でした。
ただし、今回の記事で注目したいのは子育て満足度ランキング全国1位でありながら、さらに充実してほしいことが挙げられているという点です。すでに高く評価されている医療や子育て支援にも「さらにこうなってほしい」という期待が寄せられています。
また、一時保育や地域で子育てを支え合うあんじょうファミリー・サポート・センターでは、「分からない・判断できない」という回答も多く見られました。利用経験の有無なども影響していると考えられるため、今後、こうした回答の背景をさらに見ていく必要がありそうです。
職員ヒアリングでも、子育て支援センターや児童センターでは継続的にアンケートを行い、子ども自身にも「どんなおもちゃが欲しいか」などを聞き、翌年度の運営に反映しているとの話がありました。
まとめ. 安城市の「子育てしやすさ」を支えていたもの
追加アンケートと職員ヒアリングから見えてきたのは、安城市の「子育てしやすさ」が、一つの制度や施設だけでなく、複数の要素によって支えられていることです。
追加アンケートでは、子ども医療費助成を「特に助かっている・評価している」とした人が78.4%、「子どもと出かける場所を利用するとき」に子育てのしやすさを感じる人が64.7%、子育て情報を「見つけやすい」とした人が62.7%でした。
さらに、自由回答や職員ヒアリングからは、身近な場所の選択肢や、支援施設で人とつながれる環境も見えてきました。こうした制度、施設、情報、人とのつながりが日常の中で組み合わさっていることが、安城市の「子育てのしやすさ」への高い評価につながっている可能性があります。