支援の数より大切な
『満足度』の実態とは?

1万人調査!!
子育てしやすい街
リポート

全国のアカチャンホンポ会員1万人調査!!子育てしやすい街リポート

「子育て世帯は、地域(行政)の子育て支援や環境にどれだけ満足しているのだろうか。」子育てしやすい街の実態を探るべく、アカチャンホンポは全国1万人を超える会員を対象に大規模なアンケート調査を実施し、その結果をもとに「子育てしやすい街リポート」を作成しました。
集まった10,837名の回答からは、単なる「支援の数」といった客観的な指標だけでは見えてこない、保護者が日常で感じる“満足の実感”が、街ごとに浮かび上がってきました。
本記事では、全国1位に輝いた自治体の要因をひもときながら、「子育てしやすい街」を構成する要素や、満足度を左右する4つのポイントを提示し、そのあり方を詳しく解説します。

「子育てしやすい街リポート」について

「子育て満足度」上位100自治体ランキング

Q1 お住まいの自治体(市区町村)の子育て満足度を100点満点で採点してください。

ランキングは回答数が20件以上の自治体(135自治体)を対象に平均点を算出し、得点の高い順に掲載しています。小数点以下第一位を四捨五入しています。

「子育て満足度」上位100自治体ランキング 1から9位
「子育て満足度」上位100自治体ランキング 11位から56位
「子育て満足度」上位100自治体ランキング 61位から91位

※同点の自治体は、小数点第1位までの平均点が高い順に掲載しています。

全体傾向から読み取れる 支援の「数」より重要な需要と供給のバランス

Q2 お住まいの自治体(市区町村)の子育てに関して、「満足しているもの」と「改善してほしいもの」を選んでください。

今回のアンケートでは、子育て満足度に影響すると考えられる18の具体的な項目について、それぞれ「満足しているもの(80点以上をつけてもよいもの)」と「改善してほしいもの」を複数選択式で回答してもらいました。

これらの18項目を、「金銭的支援」「日常の生活支援」「地域社会」「施設環境」「生活環境」の5つの分類に整理し、子育て世帯がどのような点に満足し、どの部分に課題を感じているのかを分析しました。

1.満足と改善の分布の類似から見える、分野ごとの関心度

満足と改善の分布の類似から見える、分野ごとの関心度のグラフ

全回答者の「満足している項目」と「改善を希望する項目」をチャート化して比較すると、その分布はよく似ていることが分かりました。これは、各分野に対する関心や注目度の強弱が共通していることを示しており、支援がすでに行われている分野であっても、同時に「もっと良くなってほしい」という期待が強く存在していることがうかがえます。

一方で、「金銭的支援」や「施設環境」「日常の生活支援」といった項目では、満足の声を上回って改善を求める声が見られ、とりわけ「日常の生活支援」においてはその差が大きく、課題がより明確に表れる結果となりました。

2.同点の自治体でも異なる「満足のカタチ」

同点の自治体でも異なる「満足のカタチ」のグラフ

たとえ同じ子育て満足度(平均点が同点)であっても、自治体によって評価軸は全く異なります。
A市(経済支援特化型): 「金銭的支援」が突出して評価され、それが満足度を牽引している。
B市(環境バランス型): 「施設環境」や「生活環境」といった、子育てを取り巻く環境そのものへの評価が高く、それが満足感につながっている。

これは、全国一律の「正解」があるわけではなく、地域の立地条件や人口構成、文化に合わせて「その街らしい満足の形」を築くことの重要性を示唆しています。

3.人気自治体が抱える「副作用」と保育の課題

今回の調査では、報道などで子育て支援の充実ぶりが注目される自治体であっても、必ずしも本ランキングの上位に入っているとは限らないという結果も見られました。こうした知名度の高い自治体では、待機児童や保留児童など、保育所の入りにくさに対する不満の声が比較的多く寄せられており、それが全体の満足度に影響していると考えられます。

これはいわば「人気自治体の副作用」とも言える現象です。「子育てしやすい」という評判により転入者が増加する一方で、保育の受け皿となるインフラ整備が追いつかず、支援の“充実”と生活者の“実感”の間にギャップが生じています。

こうした結果から、子育て満足度を高めるためには、支援の数だけでなく、需要と供給のバランスが非常に重要であることがわかりました。

全国1位、愛知県安城市が評価される要因を読み解く

数ある自治体の中で、なぜ安城市が全国1位に選ばれたのか。そのチャートを詳しく分析していきます。

1.5分類すべてで平均を上回る総合力

5分類すべてで平均を上回る総合力のグラフ

安城市は、「金銭的支援」「日常の生活支援」「地域社会」「施設環境」「生活環境」5つの分類すべてにおいて、全国平均を大きく上回る満足度を記録しました。特に「地域社会」と「施設環境」に関しては、全体平均の2倍以上の評価を得ています。
一方改善要望は、すべての指標で全体平均を下回っており、満足度が高いからこそ、改善を求める項目が少ない という構造が表れています。

2.工夫と設計で差がつく:子育て世帯に響く支援

工夫と設計で差がつく:子育て世帯に響く支援のグラフ

5つに分類した18項目を個別に見ると、満足度の要因をより立体的に把握できます。安城市は、金銭的支援のうち「特典・割引」が全国平均をやや下回る一方で、施設環境や日常の利用体験に関わる項目で高い満足度を獲得している点が特徴です。これは、給付の手厚さだけでなく、日々の子育てのしやすさに直結する支援が評価されていることを示しています。

その背景には、わかりやすい支援の発信と、実態に即した環境整備があります。子ども医療費の18歳までの無償化や第2子保育料の無償化に加え、自然豊かな公園や大規模な屋内遊び場の整備、児童館ごとに異なる遊びや体験を提供する工夫など、ハード・ソフトの両面で支援が展開されています。

さらに、支援を受けられる時間帯の工夫など、利用者目線に立った制度設計も進められています。こうした取り組みが子育て世帯に適切に届き、実際に活用されていることが、高い満足度につながっていると考えられます。

このように安城市の強みは、支援の充実にとどまらず、それが使いやすい形で生活者に届いている点にあります。こうした取り組みを通じて、子育てに積極的に取り組む自治体としての機運が高まっていることも、全国1位の評価を支えていると言えるでしょう。

「安城市子育てBOOSTERS」について

子育て満足度を左右する4つのポイントとは

Q3 お住まいの自治体(市区町村)の子育て満足度を100点満点で採点した、その理由を教えてください。

ここでは、自由記述から見えてくる子育て満足度の構成要素を4つのポイントに整理しました。それぞれについて、今何が求められているのかを深掘りします。

近くに何か所か公園はあるけど、室内で
遊べる所が1か所しかないので猛暑や悪天
候の時はすごく混み合って利用しづらい。

産前産後の家事支援サービスの助成金など、
必要に応じて利用できるメニューが豊富で
サポートが充実しています。

おむつ定期便や子育て相談できる
機会が多くて安心です。

知っていれば様々な支援があるが、
知らないと損をすることもあるような印象。

1.室内の遊び場:気候変動が変えた「遊び」のインフラ

今回の調査で、改善を求める声として多かったのが、「屋内の遊び場」の充実です。 近年の異常な猛暑により、夏場は屋外の公園で遊ばせることが生命の危険を伴うほど困難になっています。
行政はこれまで、屋外の都市公園の整備に力を入れてきましたが、気候変動という新たな局面で子育て世帯のニーズは変化しています。遊び場に限らず、さまざまな変化を的確にキャッチして、そのニーズに応えていくことが、子育て満足度をさらに高める鍵となりそうです。

2.給付だけじゃない金銭的支援:産後ドゥーラ・家事支援

経済的支援といえば「児童手当」や「祝い金」を思い浮かべがちですが、満足度の高い自治体では、「サービスへの助成」や「直接的な人の手によるサポート」を安価に受けられることが、子育て世帯の「自治体が支えてくれている」という”実感”に直結しています。

今回、子育て満足度の上位に多く見られた東京都の自治体では、家事・育児を支援する産後ドゥーラや家事ヘルパー、ベビーシッター、一時預かりなどを、比較的安価に利用できる支援が展開されています。例えば、一定時間までは1時間500円程度で利用できる仕組みや、家事支援を利用できるチケットの配布、利用後の申請による費用の一部補助など、具体的な制度設計は自治体ごとにさまざまです。

こうした取り組みからもわかるように、金銭的支援を通じて「日常の生活支援」をいかに利用しやすい形で提供できるかが、子育て満足度を左右する重要なポイントとなっています。

3.支援はあっても届かない:情報提供と「支援を受け取れる」体制づくり

どれほど手厚い制度があっても、知らなければ、ないのと同じです。今回の調査でも、実際には支援が用意されているにもかかわらず、「○○のような支援がほしい」といった認知不足がうかがえる声や、後から制度の存在を知ってがっかりしたというコメントが寄せられるなど、「情報格差」に起因する不満が浮き彫りになりました。

一方で、満足度の高い自治体では、月齢に応じた情報が必要なタイミングでアプリを通じて通知されたり、ホームページで手続きがわかりやすく整理されていたりと、支援が適切に届く仕組みが整えられています。

また、産後ケアなど産後に必要な申請について、「産後の体力的に大変な時期に、役所の窓口でしか申請できないのは不便」といった声に見られるように、来所が必要なケースも少なくありません。こうした点から、子育て世帯の状況を踏まえた支援へのアクセスのしやすさも重要であることがわかります。

多くの支援を用意していても、知られず、利用されなければ満足度にはつながりません。情報の届け方や利用導線の設計が、満足度向上の重要なポイントと言えるでしょう。

4.孤立を防ぐ「切れ目のない」繋がり:おむつ定期便

「おむつ定期便」は、おむつなどの育児用品を定期的に自宅へ届ける支援で、現在、全国の自治体で広まりつつあります。この支援の価値は、単なる物資の提供にとどまらず、配送時に家庭の状況を確認する「アウトリーチ型の見守り支援」としての側面にあります。玄関先でのやり取りを通じて子育ての困りごとを早期に把握し、適切な支援につなげるセーフティネットとして機能しています。

多くの自治体では1歳で支援が終了する中、福岡市では3歳の誕生月まで継続しており、孤立しやすい時期を長期的にカバーする「切れ目ない支援」を実現しています。「物」と「相談の機会」を一体的に届けることで、子育て世帯が身近に相談できる環境があるという安心感を支える、重要なインフラとなっています。

当事者に届く、響く子育て支援へ

1万人を超える声から見えてきたのは、「支援の数」や「制度の充実度」だけでは測れない、子育てのしやすさの実態です。満足度は、制度の有無だけでなく、日常の中でどれだけ使いやすく、実態に寄り添っているかによって左右されることが明らかになりました。

自治体ごとに強みや課題は異なり、求められる支援のあり方も一様ではありません。一方で、子育てしやすい街の実現に向けては、支援を受け手に確実に届け、実際の利用につなげるための設計や発信が、全国共通の課題であると言えるでしょう。

自治体の皆さまへ:「各自治体の詳細レポート」をご提出します

1万人調査「子育てしやすい街リポート」で寄せられた子育て世帯の声を「詳細レポート」にまとめ、自治体の皆さまにご提供いたします。(下記画像はイメージです。内容は変更になる可能性があります)

各自治体の詳細レポートのイメージ
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