2023年に発足した「赤ちゃんのいる暮らし研究所」(以下、研究所と表記)は、妊娠・子育て中の暮らしや商品などに関するリサーチと発信を主に行っている部署。商品を仕入れて販売する小売業でありながら、リサーチや発信を専門に行うセクションを設けたのはどのような理由からなのだろうか。 現リーダーの矢野さん、前リーダーの谷口さんをはじめとしたメンバーを集め、設立の経緯や現在の活動内容について聞いた。
アカチャンホンポの人とストア
2024.12.11
People
「子育て、どうしてる?」を
リサーチ・発信して、
悩みや不安の解消へ。
People in the story
(上段左より)生沼さん、太田さん、谷口さん、矢野さん、田口さん
(下段左より)中根さん、中森さん、沖本さん
難波さん(育休中)
コロナ禍でふくらんだ
子育ての不安や悩み。
この解消をめざし、
研究所を設立。
研究所の設立時から2024年夏までリーダーを務めた谷口さんは、社内にリサーチを専門とする部署をつくる必要性を常々感じていた。出産や子育ての価値観が大きく変化する中で、ママやパパがどのような育児を求めているのか、何をアカチャンホンポに求めるのかを当事者の「声」から理解しなければならないと。 そんな折、世の中はコロナ禍へ突入。谷口さんが研究所設立の構想に取り掛かっていた頃だった。
「コロナ禍によって子どもを連れて外出したくても自由にできなくなり、一気に子育てに対する不安がふくらんでいることがアンケートで判明しました。 さらに産前産後のうつに悩んでいるママが増えていることもわかり、このような不安や悩みの解消に役に立つことこそ私たちの役割だと、研究所の設立が加速しました」。
小売業にとってのマーケティング、いわゆるリサーチの目的は、顧客のニーズをつかんで自社の商品開発やサービス向上に役立てるのが一般的。しかし谷口さんはママやパパに寄り添う立場として広く声を聞き、その声を分析、公開することで不安の軽減や悩みの解消の役に立つことを研究所の一番の目的として掲げた。 そして半年間の準備室期間を経て、「赤ちゃんのいる暮らし研究所」がスタート。
みんながどうしているかを
アンケート調査して
みんなが知りたい情報に。
現在の活動の1つが、アカチャンホンポの会員様や社員に行ったインタビュー・アンケート結果を社内および赤ちゃんのいる暮らし研究所の特設Webサイトで発信すること。メンバーがアンケートのテーマ設定からリサーチ結果の分析、Webサイトの記事制作まで行い、日々みんなで相談しながら集まった声に向き合っている。 リサーチといっても質問を用意して聞いて終わりではない。ママやパパが今知りたいことは何か、それをどこまで掘り下げていくのかを練り上げて質問を設計しなければならないと、リーダーの矢野さん。
「リサーチ結果の数字がどうかよりも、この数字が表している背景を俯瞰して見極めることが必要です。そこまで読み解くにはまだスキル不足を感じますが、なぜ?を繰り返して声の奥底にある本音に迫っていきたい」と話す。
例えば生沼さんが取り上げたかったテーマである歯みがき。いつからはじめたか、何を使っているかだけでなく、歯みがきを嫌がらないケアの傾向、嫌がらない工夫まで公開されている。「専門的な情報はネットで調べると簡単にわかりますが、子育て中はまず、他の人がどうしているのかを知りたいもの。何を使って、何に気をつけてというように、みんなが感じる素朴な疑問に答えたいと考えました」。 ママやパパの知りたいことに応えながら、その奥にある育児のスタイルや要望をつかんでいく。なぜそう思うのだろう、なぜそうするのだろうという問いを重ね、「今」の育児にまつわる暮らしや思いに切り込んでいるのだ。
詳しくはこちら
不安を一つひとつ取り除き、
日本の子育てを変えていく。
さまざまな考え方や
やり方を知り、
「これでいい」と前向きになれる
きっかけに。
他にも、商品開発の社内担当者からの依頼に基づきママやパパへのリサーチを店舗などで行い、フィードバックすることも。さらに、食や自動車など他業界からの依頼によるリサーチも実施。 得られたデータをリアルな育児ニーズとして捉え、より便利で快適な商品やサービスに活かしてほしいと働きかけている。
みんながどうしているのかを知ることで、不安が拭えたり、発見があったり。さらに育児に対するさまざまな考え方ややり方を知ることで、「これでいいんだ」と前向きになれるきっかけにもなる。 研究所のメンバーは皆、日々のささやかな疑問や不便にまで目を向け、データを「声」へと転換させながら、明日の子育てをつくり上げている。
育児に関する
リサーチ結果を公開。
「みんなどうしてる?」を
チェック!
暮らし研究所