10月10日は赤ちゃん本舗が制定した「赤ちゃんの日」。2024年のこの日、ひとつの動画が公開された。タイトルは「Z世代のクリエイターが『子どもを持つ』人生について考えてみた」。約9分のドキュメンタリータッチの内容で、映画監督の道本咲希さんがさまざまな人にインタビューしていく内容になっている。 出産・育児の応援企業がなぜこのような動画を制作するに至ったのかを、企画・制作を推進した李さんと川﨑さんに話を聞いた。
アカチャンホンポの人とストア
2024.10.10
People
Z世代、親世代への
インタビューから
「子どもを持つ」人生を
考える。
People in the story
(写真左より)李さん、
川﨑さん、
北村さん
(動画制作担当として参画)
なぜZ世代は
子どもを持ちたくないのか?
この疑問をそのまま動画に。
はじまりは、川﨑さんの中で渦巻いていた疑問だった。店舗勤務からブランドマネジメント部での配属とキャリアは5年。出産や育児に寄り添う仕事のやりがいとは別に、個人的な思いとのギャップが生まれていたと打ち明ける。 「私はZ世代後半の年齢で、自分が子どもを持つことをまだ考えられなくて…。新入社員が次々と入社してくる中で、私よりも若い世代は自分の子どもを持つことをどう考えているのかを知りたいと思うようになっていました」。
調査資料を見ると、10〜20代のZ世代約2人に1人は「子どもをもつことを考えにくい」というデータも。自分を含めて若い人たちの中で膨らんでいる出産に対する「壁」はいったい何なのだろうか。なぜ子どもを持つことに二の足を踏んでしまうのだろうか。部内のメンバーに話したところ、この問いをテーマにした動画を制作しようと意見がまとまった。
川﨑さんの思いに共感した李さんも協力して、まとめた資料を提案。「私たちは出産と育児の応援を大事にしてきました。出産そのものを問うテーマに反対意見が出ることは覚悟していました」。 しかし、反対意見はなく、全員賛成。しかも「Z世代の価値観を知り、違いを議論するきっかけをもらえた」との声まであがった。こうして川﨑さんと李さんが中心となった動画制作を本格的にスタートさせた。
台本ナシの
ありのままの声を聞き、
インタビュアーの
気持ちに変化が。
子どもを持つことについて質問するインタビュアーには、対象と同じ世代の映画監督の道本咲希さんを起用。道本さん自身も「今は子どもを持ちたいと思えない」という考えで、他の人の気持ちも知りたいとこの企画に賛同してくれた。 制作会社がインタビューに答えてもらう協力者をリサーチし、最終的にZ世代の男女5人と、そのうち3人の親にも話を聞かせてもらうことになった。
動画撮影は非常にシンプルで、道本さんがそれぞれに「子どもを持ちたいと思っているか」「なぜそう思うのか」と尋ねていく展開で台本は一切ナシ。「動画で話してもらっていることはご本人の気持ちそのままです。事前にお会いすることもなく、撮影時の一発勝負で進行しました」。
次に3人のZ世代対象者の親のインタビューへ。なぜ子どもを持ったのか、子育てはどうだったかの質問に対し、「昔は結婚して出産することが当たり前だった」という単純な回答ではなく、それぞれの「子どもとの生活」への思いや愛おしさが語られていく。もしかすると親になる自信や自覚のなさは昔も今も変わらないのかもしれない。と、道本さんは気づいていく。 何を見て、何を理由に子どもを持つか持たないかを決めているのか。足元だけでなくもう少し先の自分の人生を見つめるべきではないかと。この心境の変化は、川﨑さんと李さんにとって意外なことだったと振り返る。
自分の人生にとって、
子どもを持つことの意味を
考えるきっかけになれば。
それぞれの
出産・育児に対する思いを
これからも聞き続けていく。
「Z世代の方の話を聞いて、それぞれが感じている漠然とした不安や迷いをより実感として捉えることができました」と川﨑さん。この動画制作を通じて彼女自身が「子どもを持ちたい」と気持ちが変わったわけではないが、自分の人生にとっての意味を考えるようになったという。 「動画を見ていただいた方にも子どもを持つことを考えるきっかけになればうれしい」と顔をほころばせた。
世の中には子どもを持ちたい人、持ちたくない人、そして持ちたくても持てない人がいる。それぞれが抱える思いと選択に正解も間違いもない。だからこそ「私たちはこの問いを続けていかなければならない」と李さんは言う。 出産や育児に対する価値観が多様化していくこれからの時代に、私たちが何をできるのかを考えるために。もっといろいろな世代にも耳を傾けていくという2人の意志は、動画の最後に映し出される「NEXT」の文字が伝えている。
いろいろな人に
見てもらいたい
思いを込めた動画はこちら。