子どもの成長とともに、洋服に求めるものは変わっていく。3歳にもなると自我が芽生えて服に好き嫌いがでてきたり、旺盛な行動力で生地の傷みが早くなったり…。 こうした子ども服の状況をふまえて、アカチャンホンポが2022年に発売したのが「いつものパンツ」。累計販売数131万枚(※1)という数字が表すように、これほどママやパパの支持を集めているその理由は何なのか。開発担当の山下さんに聞いた。
※1:2022年7月〜2025年1月実績

アカチャンホンポの商品
2025.3.3
子どもの成長とともに、洋服に求めるものは変わっていく。3歳にもなると自我が芽生えて服に好き嫌いがでてきたり、旺盛な行動力で生地の傷みが早くなったり…。 こうした子ども服の状況をふまえて、アカチャンホンポが2022年に発売したのが「いつものパンツ」。累計販売数131万枚(※1)という数字が表すように、これほどママやパパの支持を集めているその理由は何なのか。開発担当の山下さんに聞いた。
※1:2022年7月〜2025年1月実績
以前から「SiMPLE FREE(シンプルフリー)」というブランド名で子ども服を開発・販売していたが、よりお客さまの要望に沿ったものに改良したいと山下さんは考えていた。そんなとき、社員の一人から「うちの子どもはシンプルフリーの服を“いつもの”と呼んでいる」という話を聞く。 「着替えを嫌がることの多いそのお子さまが、うちの服を “いつもの”と選んで着てくれているという話でした。光栄な思いとともに、そんなふうに毎日選ばれるものにしたいと開発の方向が定まりました」。“いつもの”というフレーズに「当たり前に毎日着られる服を」という思いを込めて、シリーズ名にすることを決め、「いつものパンツ」の開発がはじまった。
何をもって「いつもの」パンツとするのかという基準を設定するため、まず取り組んだのが「丈夫さ」。「子ども服はサイズの変化が早いことから、価格を抑えるために薄い生地を使うことがこれまでの考え方でした。 しかし、滑り台などで遊んですぐに破れてしまうのが実状。保育園のフローリングで滑ったり寝転んだりと、いろいろな動きをすることも膝やおしりが破れやすい要因になっています。そのため、パンツの丈夫さを高めることからはじめました」。
子どもの自由な遊びを妨げず、長く使い続けられるパンツを。シンプルフリーで培ってきたノウハウを生かし、耐久性に優れた生地になるよう加工を施して摩擦に対する強度をアップ。 このような強度の高い生地の子ども服への使用は山下さんの経験上「あまりない」ことで、肌ざわりを損なうことなく、擦れやすい膝やおしりに穴があきにくい機能を備えた「摩擦に強い」ラインナップが誕生した。
「摩擦に強い」ことを自ら確認するため、加工有り・無しそれぞれの生地をやすりでこすって比較。加工無しの生地には穴があき、強さの違いが明確になった。
さらに、「加工の有無で強度が3.4倍になるとメーカーさんから聞いても実感がなくて。自分で確かめてみることにしたのです」。「摩擦に強い」生地をやすりでこすること30回以上。加工済みの生地には穴があかなかったことから、めざしていたものが完成した手応えも感じた。また、生地については「伸びる」ことも諦めなかった。 デニムのような固い生地では子どもが嫌がるため、縦にも横にも伸びるストレッチ性を加えて動きやすさを意識。しかし、「ストレッチが強すぎると洗濯時に伸びやすくなります。“いつもの”パンツとしてためらわずに洗えることも重要なポイントになるため、型くずれしにくい程度のストレッチ性になるようバランスを取りました」。
デザインについても「いつも」着られるものとしての基準を考えた。商品を見ると基本的にベーシックなカラーで、凝ったデザイン性はあまり感じられない。「例えばフリルを付けるかどうかを考えたときに、毎日着るものとして優先度は高くないと判断。花柄もシーズン性が強く出るのでトップスには使わず、カラーは上下の組み合わせがしやすいものと決めています」。 服にはTPOに応じてそのときどきの役割がある。特に毎日着る通園着に特別感はいらず、華やかさや斬新さによって目立つことは必要ないと、シンプルを具体化するデザイン基準を決めた。
子どもが毎日着たいと思う着心地は、着ていることを意識せずにのびのびと動けるものであり、それはママやパパにとっての着せやすさにもつながる。毎朝、上下の組み合わせに悩むことなく自由に着回して、思いっきり遊んでほしい。その思いは、Tシャツの素材選定にも表れている。 「敏感肌の⼦どものことを考えて⽣地は綿100%にしています」と、すべての子どもに寄り添う、“いつもの”普通の服であることを徹底している。
発売開始から2年以上が過ぎ、キッズのパンツ・Tシャツだけでなく、ベビー用のモンキーパンツやロンパースなどラインナップが拡大。季節に合わせた生地のバリエーションも増えて「いつものシリーズ」としての認知が広がり、特に摩擦に強いパンツはアカチャンホンポを代表するヒット商品に。 お客さまから喜びの声が届く中、「皆さんのそれぞれの暮らしになじんで、生活の一部になることが何よりうれしい」と笑顔を見せる山下さん。リアルな子育てを見つめながら、子ども服を追求していく姿勢はこれからも変わらない。
#13
People in the story
山下さん
Products
いつものパンツ
カラー、素材、丈もいろいろな
バリエーションをチェック。