港区長 清家愛さんインタビュー

「実家のような地域社会」
をつくる

港区が推進する、切れ目のない子育て・
キャリア支援の最前線

港区長 清家愛さん

港区は、アカチャンホンポの「子育て満足度ランキング」で全国2位(2025年度)を獲得。経済的支援に加え、妊娠期から子育て期まで切れ目なく寄り添う伴走型支援や、多様な家庭を支える施策により、高い満足度を得ています。
その背景にある「実家のような地域社会」を目指した子育て支援とは何か。
港区の清家区長に、満足度の源泉と子育て支援への考え方を伺いました。

自身の原体験から生まれた「実家のような地域社会」というビジョン

―港区が現在特に力を入れて取り組まれている子育て支援策についてお伺いします。まずは、区長が子育て政策にかけられる想いからお聞かせください。

港区では、妊娠期から切れ目のない支援を目指し、社会全体で子育てを支える仕組みづくりを行っています。 私自身、港区で出産・子育てを経験しましたが、政治家を志したきっかけは「出産とキャリアの両立が本当に難しい」という痛感でした。「港区ママの会」を立ち上げ、何千人もの保護者の声を聞き、それを区政に反映させてきました。
港区で子育てをする方の多くは全国さまざまな地域から移り住んできた方々で、両親が近くにおらず、サポートがない中で子育てをされています。私自身は実家が港区にありましたが、それでも子育ては本当に大変でした。だからこそ、「実家のような地域社会」を港区につくる必要があると強く思っています。

港区長 清家愛さん

―「実家のような」という言葉、とてもあたたかく心強いですね。具体的にはどのようなサポートを進められているのでしょうか。

妊娠・出産・育児の不安を早い段階から把握し、一人ひとりの状況に寄り添った「伴走型の支援」を進めています。 例えば、それぞれのニーズに合ったシッターを選べる「マッチング型ベビーシッター」を都内で初めて令和7年6月から開始しています。また、これまでの0〜2歳向けに加え、新たに3歳から小学1年生までを対象とした家事支援サービスを令和8年10月から都内初で開始する予定です。子どもが小学校に上がるまで、実質的に途切れずサポートできる体制を整えています。

産後ケアから遊び場まで、親子の孤立を防ぐ切れ目ない居場所づくり

―産後のサポートや遊び場についても、新しい取り組みが大変好評だと伺っています。

愛育病院などと連携した「産後ケア」は好評いただいており、きょうだいも一緒に泊まれるように配慮するなど、個別のニーズに対応しています。子どもが産まれても、気持ちや心の面でいきなり親になれるわけではないからこそ、保育園に入る前の段階で親同士・子ども同士が友達になり、子育てのコミュニティができる場を産後すぐに作れるようにしています。
また、令和7年7月から運営している「あっぴぃパーク高輪」も非常に人気です。

あっぴぃパーク高輪

全天候型の屋内遊び場で、猛暑など公園で遊べない時でも子どもがのびのびと走り回れます。最大の特長は「インクルーシブ」であること。床はクッション素材で、車椅子や寝たきりの障害があるお子さんでも乗れるブランコを設置するなど、障害の有無に関わらず全ての子どもが一緒に遊べるコンセプトで作られています。
他にも、国の制度に区独自の枠を上乗せした「港区版こども誰でも通園制度」は、0歳児の枠をもっと増やしてほしいという声が出るほど好評です。さらに、妊娠期から子どもが思春期になるまで参加できる「孤立させない子育てプログラム」も用意し、保護者が子どもとの関係づくりに自信を持てるような支援も行っています。

港区の「地域資源」をフル活用。次々と生まれる先進的な子育て支援

―港区には、多様な方々が住まわれていますよね。地域特性はどのように施策に反映されているのでしょうか?

港区は人口の約1割が外国籍の方で、令和6年11月時点で33の鉄道駅、17の路線があり、同年9月時点で全国の半分にあたる81の大使館、全国1位となる約4万の事業所、さらに大学や医療機関などが密集しています。 こうしたポテンシャルの高い人材と資源を行政だけでなく企業や機関と連携させ、多様な家庭を支えていくのが「港区らしさ」です。
例えば、キャリアとの両立に不可欠な「病児・病後児保育室」は区内7施設を開設しており、麻布地区に新しくできた施設では定員を8名から12名へ拡大し、障害のあるお子さんへの対応も強化しています。

―障害のあるお子さんへのサポートも非常に手厚いですね。

国籍や障害の有無に関わらず、全ての子どもたちが幸せでいられることが重要です。都立臨海青海特別支援学校に通うお子さんたちを対象に、学校から放課後等デイサービス事業所までの送迎支援の実施(令和7年9月開始)や、この4月には重症心身障害児向けの放課後等デイサービス、ショートステイ、医療的ケアなどを一体的に提供する「ミタマチシップス」を開設しました。
さらに、共働き家庭を支えるため、都内で初めて、全ての区立小学校の図書館を活用した「モーニングスクール(児童の朝の居場所づくり)」も令和8年4月から開始しました。

「こどもまんなか」の社会と、キャリアを諦めないための支援

―女性の活躍やキャリア支援という観点でも、これまで様々な課題に取り組まれてきたかと思います。現状の課題と今後の展望をお聞かせください。

国の構造として誰もが働く時代において、出産や子育てを機にキャリア継続に不安を感じる方はまだ多いのが実情です。その不安を払拭する社会を作りたいと考えています。 港区では平成31年4月時点で待機児童ゼロを達成し、現在も継続しています(保育園127施設、約8,400人の定員枠を確保)。今はさらに進んで、親の就労状況に関わらず等しく良質な幼児教育にアクセスできる「誰でもこども園構想」を進めており、基本保育料の無償化にも取り組んでいます。
また、キャリアプランとライフプランを早期に考えられる支援として、東京都の卵子凍結費用助成(最大20万円)に対し、区独自で10万円を上乗せする制度を令和7年4月から開始し、令和7年度は100件以上の実績があります。ひとり親家庭や障害児のいるご家庭に対するベビーシッター利用上限の大幅拡大(最大288時間まで)も行っています。

港区長 清家愛さん

―素晴らしいですね。「赤ちゃん応援便」などの事業でも、他自治体では平日のみの配達が多い中、港区では土曜日にも配送が行われているなど、働きながら子育てをする方の目線が細部まで行き届いていると感じます。最後に、今後目指したい姿を教えてください。

子どもと保護者が幸せを実感し、地域全体にその幸せが広がっていく社会を実現したいです。 令和7年9月には「港区こどもまんなか宣言」を行いました。宣言の周知として0〜18歳に3万円分の「みなトクPAY」のポイントを付与する事業なども行っています。 子どもを単なる「支援の対象」とするのではなく、「一人の主体」として意見を聞き、権利をしっかりと守り社会に反映させる。そのために、若者や子どもの声を拾い上げるオンブズマン制度や条例づくりにも着手していきたいと考えています。「世界一幸せな子育てができる港区」を目指して、これからも尽力してまいります。

―本日は「実家のような」という言葉が大変印象に残りました。多くの方が港区のこうした手厚い支援を知り、やりがいを感じながら子育てとキャリアを両立できる社会になることを願っております。貴重なお話をありがとうございました。

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