妊娠中・産後の女性
1,108人に聞きました

産後ケア事業
認知度・利用率 ニーズを徹底調査

産後ケア事業 認知度・利用率 ニーズを徹底調査

妊娠・出産を経て、子育て世帯の生活は大きく変化します。とりわけ産後の女性は、身体的な回復の途上にありながら、慣れない育児への対応も求められるなど、心身ともに大きな負担を抱えやすい時期にあります。
こうした状況を支えるために、現在、多くの自治体において、出産後1年以内の母子を対象に、心身のケアや育児のサポート等を行う、「産後ケア事業」が実施されています。
一方で、制度として整備が進む中、「必要な人に適切なタイミングで届いているか」「実際のニーズに合致しているか」といった観点では、依然として課題が残されている可能性があります。
そこで本調査では、妊娠中・産後の女性1,108人にアンケートを実施し、自治体が実施主体である産後ケア事業の認知度や利用状況、利用に至らない理由、必要とされる時期や支援内容について把握しました。

「アカチャンホンポ:産後ケア事業」について

認知度97%でも利用は4割?浮き彫りになった「産後ケア事業」の壁

Q1 「産後ケア事業」をご存じですか?(現在妊娠している方にお伺いします。)

アンケート集計グラフ

現在妊娠している方のうち、「産後ケア事業」を「知っている」と回答した方は97.3%と、非常に高い認知度となりました。
妊娠中の段階から多くの方に情報が届いていることがうかがえ、産後に向けた備えとして関心の高さも感じられます。

Q2 産後ケア事業を利用したいと思ったことはありますか?
(「産後1年以内」「産後1年以上2年未満」で産後ケア事業をご存じの方にお伺いします。)

アンケート集計グラフ

「産後ケア事業を利用したいと思ったことがある」と回答した方は83.6%と、8割以上の方が利用意向を持っている結果となりました。産後の体調や育児への不安を見据え、あらかじめサポートを求めたいと考えている方が非常に多いことがうかがえます。

一方で、実際の利用状況を見ると、「利用した」は45.2%、「利用しなかった(できなかった)」は54.8%となりました。利用した方も一定数いるものの、全体としては利用に至らなかった方がやや多く、利用意向の高さと実際の利用状況には差が見られる結果となっています。

「手続きの煩雑さ」が障壁に。利用を断念させる主な要因

Q3 産後ケア事業を利用していない(できなかった)理由について教えてください。
(「産後1年以内」「産後1年以上2年未満」で、産後ケア事業の利用希望はあったが利用しなかった方にお伺いします。)

アンケート集計グラフ

産後ケア事業を「利用したいと思ったが利用しなかった(できなかった)」理由として最も多かったのは、「利用申請に係る手続き等が複雑・大変だった」で36.5%となりました。次いで「上の子のお世話等があるため」(27.3%)、「経済的な負担が大きかった」(23.8%)と続き、手続き面や家庭状況、費用面が主な要因となっていることがわかります。

そのほかにも、「居住地の近くになかった」(15.0%)や「外部サービスを利用することにためらいがあった」(14.8%)、「利用したい施設の予約が埋まっていた」(11.0%)など、環境や心理的なハードルに関する回答も一定数見られました。

なお、「その他」の回答の中には、「パートナーや実母が家事や育児のサポートをしてくれるので、使う必要がなかった」といった声も寄せられており、家庭内での支援体制が整っているケースも一定数あることがうかがえます。

ニーズと実際の利用時期に生まれる「乖離」

Q4 産後1年(今まで)を振り返り、改めて産後ケア事業を利用したい時期を教えてください。
(「産後1年以内」「産後1年以上2年未満」と回答した方にお伺いします。)

アンケート集計グラフ

産後1年を振り返った際に「このタイミングで産後ケア事業を利用したかった」という時期と、実際に産後ケア事業を利用した時期について、それぞれの傾向を整理しました。

まず、「利用したいと思う時期」として最も多かったのは、「生後1か月以上2か月未満」(49.1%)および「生後2週間以上1か月未満」(48.6%)で、いずれも約半数にのぼりました。次いで「生後2か月以上4か月未満」(31.9%)、「生後2週間未満」(29%)と続いており、出産直後から生後2か月頃までの早い時期に利用したいという意向が強いことがわかります。

一方、実際に利用した時期として最も多かったのは、「生後2か月以上4か月未満」(53%)で、次いで「生後1か月以上2か月未満」(40%)、「生後2週間以上1か月未満」(24.2%)となりました。利用は生後2〜4か月頃に集中しており、出産直後の時期の割合は比較的低い結果となっています。

このように、産後ケア事業については、利用したいと感じるタイミングと実際の利用時期との間に違いが見られ、全体として実際の利用はやや後ろの時期に寄る傾向がうかがえます。

「調べる気持ちと時間の余裕がなかった。」直面する心理的ハードル

申請したが、利用したい時に
間に合わず使用できなかった

調べたり予約したりする
気持ちと時間の余裕がなかった

自分の悩みで利用していいのか
分からなかった

情報収集・予約問い合わせ&申し込み、
当日までの出発準備などの労力を考えたら
そこに割くエネルギーがなかった

寄せられた声からは、制度の存在を知っていても実際の利用に至るまでにいくつかのハードルがあることがうかがえます。

自治体の産後ケア事業の利用には申請が必要ですが、産後は体力的にも生活リズムの面でも余裕がなく、制度や申請方法について詳しく調べること自体が難しい状況にあります。
自治体によっては役所の窓口へ直接出向いて申請する必要があり、赤ちゃんを連れての外出が大きな負担となるケースも見られます。
さらに、多くの自治体では申請から実際の利用開始までに一定の時間を要するため、「使いたい」と思ったタイミングですぐに利用できない実態もあります。

こうした背景から、「申請したが、利用したい時に間に合わず使用できなかった」「調べたり予約したりする気持ちと時間の余裕がなかった」といった声が挙がっており、利用意向の高い時期と実際の利用時期との間に差が生じていることがわかります。

さらに、「情報収集や問い合わせ、申し込み、当日の準備まで考えると負担が大きかった」「自分の悩みで利用してよいのかわからなかった」といった回答も見られ、手続き面だけでなく心理的なハードルも利用を妨げる要因となっていることがうかがえます。

このように、産後ケア事業はニーズの高い支援である一方で、利用までのプロセスや環境面にも課題があります。

「制度」を「届く支援」へ。子育て世帯に寄り添う情報発信

ここまで見てきたように、産後ケア事業はニーズの高い支援である一方で、実際の利用にあたってはさまざまなハードルが存在しています。自治体ごとに運用に違いがあるものの、申請方法の分かりづらさや情報の複雑さ、自治体ホームページを見ても「難しそう」と感じて利用をためらってしまうといった点は、多くの子育て世帯に共通する課題といえます。

もちろん、自治体のサービスである以上、一定の申請手続きが必要であり、その適正な運用は欠かせません。また、手続きのオンライン化についても、多くの自治体が取り組みを進めている段階にあります。

そのような中で重要になるのが、「どう伝えるか」という視点です。例えば、申請に必要な書類や事前準備、利用希望の多い時期に合わせた適切な申請タイミング、具体的な利用の流れをモデルケースとして示すなど、子育て世帯の目線に立ったコンテンツ(記事や動画)を整備することで、制度への理解と利用のしやすさは大きく変わります。

赤ちゃん本舗では、こうした取り組みを自治体の子育て関連部署と協働して実施する「子育て支援meetsプロジェクト」を展開しています。情報の届け方を工夫することで、子育て世帯に幅広く支援が届きやすくなり、結果として自治体の子育て支援に対する満足度向上につながる可能性があります。

産後ケア事業を「本当に必要なときに、使える支援」にしていくために。制度そのものだけでなく、届け方の工夫にも目を向けていくことが、これからの子育て支援に求められているのではないでしょうか。

本アンケート調査項目は、こども家庭庁と協働で検討しました。
なお、記事については赤ちゃん本舗で作成しました。
アンケート概要・集計結果は、以下のリンクよりご覧いただけます。

また、自治体さまと連携し、赤ちゃん本舗の会員さまを対象に(郵便番号)個別でアンケートの実施も可能です。ご希望の際は、お気軽にお問い合わせください。

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