妊娠初期症状はいつ起こる?
なぜ起こる?
妊娠初期症状とは、妊娠したときに妊婦さんに表れる心身の変化のことで、妊娠0~15週(妊娠1~4ヵ月)の妊娠初期と呼ばれる時期に起こります。早い人では「妊娠超初期」と呼ばれる0~3週目までに起こることも。その症状が起こる原因は、まず受精卵の子宮内膜への着床。また妊娠すると、次の3つの女性ホルモンの分泌量が増えることも原因です。
妊娠すると分泌量が増える
3つの女性ホルモン
- エストロゲン(卵胞ホルモン)
- 妊娠前から子宮内膜を厚くしたり、おりものを増加させて精子を子宮に受け入れやすくします。妊娠後は妊娠維持に役立ったり、出産後の授乳に向けて乳腺を発達させる役割があります。
- プロゲステロン(黄体ホルモン)
- 受精卵の着床を助け、子宮内膜をふかふかに保ち、妊娠の継続を助けます。基礎体温の上昇、食欲の増加、イライラ、不安感などの原因になります。
- hCGホルモン
(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
- 妊娠を維持し、赤ちゃんを育てるために必要なホルモンです。黄体を刺激してプロゲステロンの分泌を促します。
生理前症状(PMS・月経前症候群)は
いつ起こる?なぜ起こる?
PMSと呼ばれる生理前の症状は、生理が起こる3~10日前頃に起こることがあります。原因ははっきりとわかっていないものの、妊娠初期症状と同じく、女性ホルモンの分泌量の変化が影響しているといわれています。排卵から生理までの期間、エストロゲンとプロゲステロンの分泌はいったん増え、後半になると急激に低下。この変化が脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こし、PMSの原因となると考えられています。
妊娠初期と生理前、
似ている症状は?違う症状は?
妊娠初期の症状と生理前の症状は、似ているものも多数あり、判断が難しい場合もあります。それぞれの症状について、類似点、違う点をご紹介します。
妊娠初期と生理前
「おりもの」での違い
妊娠初期も生理前も、おりものに変化が表れることがあります。生理前はおりものの量が減少するのに対し、妊娠するとおりものの量が増える傾向があります。生理前のおりものの色は白濁し、粘り気が強い状態。また子宮内膜がはがれ始め、わずかな経血が混じってピンク色や茶色がかったおりものになることも。においは少しきつくなり、酸っぱいようなにおいが気になることもあります。
妊娠初期のおりものは粘り気がなく、サラッとしているのが生理前との違い。ただし色は白濁していたり、黄色っぽかったり、着床出血が混ざってピンク色や茶色っぽくなることも。においも酸っぱいにおいがきつくなることがあり、生理との違いはわかりにくいといえます。
妊娠初期と生理前
「少量の出血」での違い
受精卵が着床するとき、受精卵から伸びる絨毛が子宮内膜の血管を傷つけ、少量の出血が起こることがあります。これを「着床出血」といいますが、生理の始まりと時期も重なり、症状も似ているため勘違いしてしまうことがあります。着床出血は生理に比べて期間が短く(1~2日程度)、経血より少量で、血の塊が出たりすることはありません。
妊娠初期と生理前
その他の類似点・違いをチェック
- だるさ・眠気
- 妊娠初期も生理前も、ホルモンの変化や体温の上昇などの影響で眠気がしたり、体がだるくなったりすることがあります。
- イライラ・不安感
- 妊娠初期も生理前も、ホルモンの影響で情緒不安定になりがち。ちょっとしたことでイライラしたり、不安を感じやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりします。
- 腹痛やお腹の違和感
- 妊娠すると子宮が大きくなり始めることやホルモンの影響などで、腹痛やお腹の違和感を覚えることがあります。また生理前も排卵やホルモンの影響でお腹が張ったり、お腹が痛くなったりすることがあります。
- 吐き気、食欲の変化
- 妊娠するとホルモンの影響で胃腸の働きが弱くなり、食欲がなくなったり、吐き気がしたり、「つわり」の症状が起こることがあります。逆に食欲が増して食べすぎてしまうことも。また生理前も、ホルモンの変化で吐き気がしたり、食欲がなくなったり、増したりすることがあります。
- 体温が高くなる
- 女性の基礎体温には「低温期」と「高温期」があり、生理前も妊娠初期も、基礎体温が高い傾向があります。ただ生理が始まると低温期に切り替わりますが、妊娠した場合は高温期が続き、3週間続くと妊娠の可能性が高くなります。
- 胸の張りや痛み
- 妊娠すると母乳を出す準備のため胸が張ったり、痛みを感じたり、乳頭に違和感が起こることがあります。一方、生理前も、ホルモンの変化で同じように胸が張ったり、痛みを感じることがあります。
- めまい・立ちくらみ
- 妊娠初期は貧血や自律神経の乱れ、低血圧などでめまいや立ちくらみが起きやすくなります。また生理前もホルモンの乱れが血糖値や血液循環などに影響し、めまいや立ちくらみが起こることがあります。
生理がきそうでこない!
妊娠以外の理由は?
生理が遅れていると妊娠の可能性は高まりますが、妊娠していなくても生理がなかなかこないことがあります。その理由について、考えられることをご紹介します。
- 生理不順・無月経
- 生理不順とは、生理の周期が正常範囲とされる25~38日の範囲外にあり、遅すぎたり早すぎたりすること。また妊娠や閉経以外で3ヵ月以上生理がこないと無月経と呼ばれます。初潮から不順の人もいれば、何らかの原因でホルモンバランスが崩れて起こる場合もあります。
- 過度のストレス
- 人間関係などで過度な精神的ストレスがかかっていたり、疲れや寝不足が続いていたりすると、女性ホルモンの分泌を促す脳の働きが乱れ、生理不順を起こすことがあります。
- 無理なダイエット
- 無理な食事制限を行うと、生殖機能よりも直接命に係わる臓器などへの栄養が優先され、女性ホルモンの分泌量が減ったり卵巣の機能が低下したりして、生理がこなくなることがあります。
- 甲状腺の異常
- 甲状腺ホルモンは基礎代謝の調節や女性の生殖機能に深く関係しており、過剰に分泌されたり不足したりすると、生理不順や無月経につながることがあります。
- 早期閉経
- 平均的な閉経年齢は50歳頃ですが、早期閉経といって40歳未満で閉経してしまうこともあり、生理がこなくなります。遺伝や自己免疫疾患、代謝性疾患などさまざまな原因で起こると考えられています。
妊娠しているかどうか、
どうやって判断すればいい?
基礎体温をつけている場合は、高温期がどのぐらい続いているかチェックしてみましょう。基礎体温が低い「低温期」は生理から排卵まで、基礎体温が高い「高温期」は排卵から生理まで、通常はそれぞれ2週間ほどで切り替わっていきます。ところが妊娠している場合は高温期がそのまま続くので、3週間以上続いている場合は妊娠の可能性が高くなります。生理予定日を1週間過ぎたら妊娠検査薬でチェックしてみてください。妊娠検査薬が陰性なのにそのまま生理がこない日が続いた場合は、妊娠以外の体のトラブルが理由であることも考えられますので、産婦人科で診てもらうようにしましょう。
妊娠したかも、と思ったら
気を付けることは?
妊娠超初期~妊娠初期は、赤ちゃんの体の重要な器官が形成される時期。まず、タバコとお酒は発育に影響が出るリスクが高いため、すぐにやめましょう。カフェインも摂りすぎると胎児に影響することがあります。また激しい運動や、お腹の圧迫、転倒の危険性があるスポーツは避けましょう。薬の服用は、必ず医師に妊娠の可能性を伝えて相談してからにしましょう。また妊娠の可能性がある場合は、葉酸の摂取も心がけることをおすすめします。妊娠前~妊娠初期にかけてしっかり摂ることで、赤ちゃんの先天性の障害、「神経管閉鎖障害」のリスクを減らせるとされています。